PSI-CELP(ピッチ同期雑音源符号励振線形予測方式)
Pitch Synchronous Innovation-Code Excited Linear Prediction
NTTで開発されたCELP系音声符号化方式。CELPに基づき,あらかじめ符号帳に用意された候補ベクトルを励振源として線形予測フィルタを駆動する音声符号化方式。特に,雑音符号帳を先頭から音声の基本周期であるピッチ同期化分だけ取り出し,繰り返すような形に変形することにより,張りのある合成音声を得ることができる。日本のディジタル方式自動車電話システム(PDC:Personal Digital Cellular)のハーフレート方式として採用されている。
日本では,1990年に音声符号化6.7 kbit/s,訂正符号4.5 kbit/s,合計11.2 kbit/sのVSELP方式がフルレート標準方式に定められた。1993年4月のさらに情報量を半分にする技術コンテストが行われ,ここで国内標準方式として選定されたのがPSI-CELP方式である。PSI-CELP方式では,音声符号化に3.45 kbit/s,訂正符号に2.15 kbit/sを割り当てて計5.6 kbit/sで音声の符号化を行っている。PSI-CELP方式は合成モデルを使うことで自然性を保ちつつ雑音感を低減し,演算量やメモリ量を大幅に削減した。