Super-ALIS
Super-conducting Atsugi Lithographic Synchrotron Radiation
超電導偏向電磁石を用いた世界初の小型電子蓄積リングで1989年に開発された小型放射光発生装置。
本装置は,2台の180度偏向型の超電導電磁石を対向させ,その間を2本の直線部にて結合したレーストラック型の電子蓄積リングである(図)。超電導電磁石の強磁場を用いれば,電子軌道半径を小さくでき,同時にSORの短波長化,大強度化が可能なため,従来型に比べ格段に装置を小型化できる。最大偏向磁場強度3テラスと最大電子エネルギー600 MeVは半導体微細加工に適した波長1 nm付近のX線が最大強度となるように決定した。超電導偏向磁石のコイルはニオブチタン材で構成され,液体ヘリウムにより零下269℃に冷却されている。直線部には電子ビームを集束する4極磁石,ビーム不安定性を抑制する6極,8極磁石や,ビーム軌道調整磁石,高周波加速空洞,ビームモニタ,そして2種類の入射系を配置している。これら2種類の入射系はそれぞれ線形加速器を用いた低エネルギー(15 MeV)入射方式とNARを前段加速器として利用した高エネルギー(520 MeV)入射方式に対応している。2種類の入射系を持つことにより冗長性が増し,電子蓄積リングをより安定に運用できる。入射された電子はリング内を周回しながら600 MeVまで加速される。電子のスピードは光速の99.99996%にもなる。その後電子ビームはリング内を長時間にわたってSOR(Synchrotron Orbital Radiation)を発生しながら周回し続ける。