用語説明

エコーキャンセラ

Echo Can-celler

ハイブリッド回路(2線-4線相互変換回路)のインピーダンス不整合により発生する信号の回り込み(エコー)を消去するために用いられる装置。エコーが回り込んでくる経路と等価な擬似エコー発生回路を有し,そこに受信音声信号を通して擬似エコーをつくり,実際のエコーからこの擬似エコーを差し引いてエコーを消すものである。テレビ会議等では音声系としてマイク,スピーカ等が使用されるが,スピーカで拡声された音声が室内で反射して再度マイクに集音され,そのまま発言者に戻ってきてしまい(エコー),会話の明瞭度が大きく低下する。そこで,エコーキャンセラを回線と音声系の間に挿入,回線から受信した音声信号からマイクで集音される信号を予測し,差し引くことにより,回り込みを防いでいる。電話の片道の遅延時間が5msを超える場合は,エコーキャンセラが必要となる。会議通話の音響エコー制御に関しては勧告G.167,長距離(主に国際,衛星)回線に適用するエコーキャンセラは勧告G.165で規定している(図)。

◆ 《残留エコー》

受話者側の2線/4線変換でインピーダンスミスマッチングにより回り込んだ送話者信号が,エコーキャンセラで十分消去されずに送話者側に戻ってくる信号をいう。

図_エコーキャンセラの概念図