ココム(COCOM)
Coordinating Committee on Multilateral Export Controls
東側諸国へのハイテク(戦略物資・戦略技術)の流出を規制する対共産圏輸出統制委員会のこと。東西冷戦の終結で世界の安全保障上の問題が地域紛争防止に移行し,輸出規制も軍事的脅威の高い国に対するものに変わってきている。こうした国際情勢の変化に対応したココムの在り方がココム加盟国および協力国の間で検討されてきた。その結果,①1994年3月末日のココム終了,②1994年10月目途に新たな輸出管理体制の設立交渉を進めること,③ココムの終了から新たな輸出管理体制の設立までの間は暫定規制を実施すること,で合意された。1995年12月,ココムに代わる新たな輸出管理機構として,日米欧等旧ココム加盟国,露および東欧諸国の28カ国間で「ワッセナー・アレンジメント」の設立が合意された。
◆ 《ワッセナー・アレンジメント(Wassenaar Arrangement)》
東西冷戦の終焉によりココムが廃止(1994年3月末)されたが,これに伴い,地域紛争防止の観点から,武器と関連汎用品を扱う新たな輸出管理体制としてワッセナー・アレンジメントが1996年7月に発足した(ワッセナーとは,オランダの都市名であり,本機構設立の会合場所)。ワッセナー・アレンジメントは,地域の安定を損なうおそれのある通常兵器の過剰な蓄積を防止することが目的であり,紳士協定的な色彩が強く,ココムとは違って輸出管理は各国の裁量に委ねられているほか,規制対象国は全地域となっている。また,参加国は定期的に会合を設け,情報交換をしていくこととしている。発足時の参加国は,ココム加盟国の他,露,東欧諸国を含む33カ国。