1989年3月,米国の化学者が「パラジウム金属を電極にして重水を電気分解しているとき,異常な発熱を観測した。これは金属中の重水素の核融合反応が起きたためと思われる。」と発表して全世界に大きな衝撃を与えた。このような核融合には1億度以上の温度が必要であるが,常温(室温)で起きたと主張したため,以来,「電気分解による常温核融合」の追試が盛んに行われてきた。その後,過剰熱の検出などの状況証拠は積み重ねられてきたが,核融合の決定的証拠が提出されるまでには至っていない(図)。