用語説明

スーパーコンピュータ

計算速度の特に速いコンピュータ。汎用コンピュータが事務・技術計算の両方で使われるのに対し,複雑な科学技術計算を超高速で行うことを主たる目的にしている。メーカーによって,厳密な定義はばらばらである。日米構造協議(SII)では,100 Mflops浮動小数点演算を1秒間に行う速度の単位,100 Mflopsは毎秒100万回の100倍回)以上のコンピュータを特にスーパーコンピュータとして取り扱っている。

最初はミサイルの弾道計算等を主として軍事目的に利用されたが,時とともに分子構造の解析,航空機や自動車の衝突シミュレーション,原子炉の強度計算,CAD/CAM,アニメーション製作等,様々な分野で利用されるようになり,研究開発の時間短縮,コスト削減に貢献している。この流れに沿って,演算速度も急速に上昇。日本電気(NEC)は1989年7月,22 Gflops(1ギガは10億)に達する「SX-3」を発表,これが現在世界で最高速のスーパーコンピュータとされている。こうした技術の急速な進歩で,最近ではスーパーミニコンピュータでも1 Mflopsに達する機種も現れている。このため「100 Mflops以上」という定義もそのうちに見直されそうである。スーパーコンピュータをつくっているのは,世界でクレイ・リサーチ(米国),NEC,日立製作所,富士通の4社であるが,クレイ・リサーチが世界市場の約80%を抑えて圧倒シェアを誇っている。日本市場では国内3社が強く,クレイ・リサーチのシェアは15%程度,このため,米国は日本市場の閉鎖性に対し,包括通商法スーパー301条(不公正貿易国・行為の特定・制裁)を発動,摩擦問題を引き起こしている。日本では大学,研究所を中心に現在約120台が稼働しているが,その能力からさらに拡大するものとみられている。