ドイツの新電気通信法
ドイツの新電気通信法案は1996年6月13日に連邦議会で,また同年7月5日には連邦参議院でそれぞれ可決された。このドイツ法は以下の特徴を有している。
① これまでドイツテレコムが独占してきた音声電話のサービスおよび専用線サービスに関する免許も,事業者としての信頼性や能力等の基本的条件を満たせば,誰でも取得可能。また,外国の事業者にも完全に門戸を開放。
② 無線サービスは,割当て可能な周波数による事業者数は制限。
③ ユニバーサル・サービスの確保の方針が決められ,具体的なサービス規定に関しては,弾力的運営を図るため,政令で対応。ただし,市場シェアの4%以上の事業者には,ユニバーサル・サービス提供を義務付け。
④ 市場支配的な事業者(当面ドイツテレコム)が競争の進展を阻害しないよう,料金とネットワークの相互接続に関する行動規範を設定し,音声電話サービスや専用線の料金の認可制を採用。
⑤ 道路使用権は,現行どおり無料。
⑥ 郵電省を1997年末に廃止し,経済省の管轄下に,新たに電気通信規制庁を新設。
⑦ 事業者は顧客データの守秘義務を負う一方,公共治安や秩序の維持のため,電気通信規制庁の要請により顧客データの提供を義務付け。
⑧ 規制にあたり,州の意見を反映するため,監督官庁に諮問委員会を設置(ドイツ連邦議会と連邦参議院の議員各9名から構成)。
EU(欧州連合)は今回新法を制定し,一部条項を施行したのを見届けた後,1996年7月17日に条件付きで認可した。