用語説明

トータルパワー改革(TPR)運動

Total Power Revolution

本格的なマルチメディア時代に向け,今後さらに増加が予想される電力消費量を抜本的に削減するため,NTTグループ全体として,1987年から取り組んできた省エネルギー活動を,さらに一歩踏み込んで研究開発段階から電力エネルギー削減に取り組むトータル的な運動である。

TPR運動のより確実な成果と,環境問題に対するNTTグループとしての社会的な責務を果たすため,「2010年に向けた電力エネルギー削減ビジョン」を1998年2月に策定した(図)。

このビジョンは2005年までを第1ステップ,2010年までを第2ステップと2段階構成としている。第1ステップでは低消費電力につながるLSI等の素子・部品開発に焦点を置き,第2ステップの最終年である2010年までには,第1ステップでの成果を組み込む等により,2010年には1990年の約3倍となる商用電力消費量を1990年レベル以下に削減することを目標にしている。

TPR運動は,このビジョン達成に向けて大きく4つの柱に分類し,役割を明確にして推進している。

(1) 研究開発におけるエネルギー対策の取り組み

通信設備等を構成しているLSIの動作電圧を下げ,消費電力量を低下させる技術開発に取り組む。2000年には消費電力量を1/5に,次いで2005年には1/25にまで電力エネルギーを削減する。この低電圧LSIを用いることにより,2000年には電力エネルギー消費量を現在の2/3に,2005年には現在の1/3まで電力エネルギーを削減した通信装置を開発する計画である。

(2) 通信装置を導入する部門でのエネルギー削減

設計・施工する段階から省エネルギーを意識した設備構築を行う。従来の電話用ネットワークからマルチメディアトラヒック用のネットワークに切り替えるネットワーク構造改革において低消費エネルギー化を図った通信設備を,いかに効率的に設備更改・構築を行うか,エリア全体・ビル単位等,総合的な観点から検討を行い最適な導入を図る。

(3) 日常的な活動の中で,エネルギー・コストマネジメントを自主的・主体的な活動として推進する

全国の各支店にエネルギーマネージャを,(株)NTTファシリティーズの各支店にエネルギーコストマネージャを選任・配置し,より細かなトータルパワー改革運動が推進できるようにした。

(4) NTTの資産を活用した最適エネルギーシステムの構築

今後,コージェネレーションシステム(CGS)を電力および熱の消費の多いビルへ重点的に導入していくことにより,自家発電による自給率を現在の2%から,2005年には10%に,2010年には30%まで高め,経費の削減に努めるとともに,社会的な電力エネルギー消費のピーク抑制に寄与していく。発電自給率向上に向け,CGSを1998年度に5ビル,1999年度に9ビル導入し,2000年以降も積極的に導入していく。また,将来の研究開発成果として,燃料電池・太陽電池等の導入を検討していく。

豊かな情報流通社会の実現に向け,マルチメディアに適したネットワークの構造改革等,インフラ設備の構築を進めていく過程において,電力エネルギーの抑制も併せて行う。さらに,NTTグループ内で実践しているTPR運動を基点に,エネルギーを中心とした諸課題を「リスク」,「コスト」,「環境」の観点から,情報流通社会の基盤づくりのため,世の中へ発信していく。

図_トータルパワー改革運動の展開