パーソナル通信
「いつでも,どこでも,誰とでも」自由に通信できるサービスであり,従来の電話が加入者回線同士を接続する固定通信であるのに対し,個人の移動性を許容する人と人との通信。ITU(国際電気通信連合)では「ユーザ単位に定義された契約に従い,網能力や端末能力の範囲で地理的位置に関係なく,任意の固定あるいは移動端末から個人ごとに与えられたパーソナル番号に基づいて呼の発着信ができるサービス」と定義されている。
パーソナル通信を実現するための機能としては,①端末・個人がネットワークに正しく契約されていることを確認する認証機能,②端末・個人が移動したときにその位置を登録して着信があったときに追いかける位置登録・追跡機能,③移動先に応じて柔軟に課金する課金制御機能,④端末の移動を制御する無線制御機能等がある。
パーソナル通信はセルラーからの展開とコードレス(固定網)からの展開の2つがある。
(1) セルラーシステム
自動車等の高速移動体を対象としたサービス。基地局はマクロセルで半径数kmをカバーし,ネットワークは固定網とは独立に構成されている。セルラーシステムは,現在アナログ方式からディジタル方式に移行中であり,代表的なものに欧州のGSM(Global System for Mobile Communications),米国のIS54,日本のPDC(Personal Digital Cellular)がある。これらはいずれも時分割多重であるTDMA(Time Division Multiple Access)方式であるが,米国,韓国等ではIS95というCDMA(Code Division Multiple Access)方式が普及し始めている。
(2) コードレスホン
固定網からの発展形態で,元々加入者回線の先を無線化したもので,端末の移動性は限られている。このコードレスホンにIN(Intelligent Network)の持つ追いかけ機能を利用して屋外でも,より広範囲に利用できるようにしたのがPHS(Personal Handyphone System)である。ディジタルコードレスの代表的なものとしては欧州のDECT(Digital Enhanced Cordless Telephone)と日本のPHSがある。