用語説明

光ファイバ増幅器

電気変換をせずに光信号をファイバ中で直接増幅することを可能にしたデバイス。広帯域,高出力,低雑音であり,波長多重(WDM)信号の一括振幅や信号形態に依存しない増幅特性を持つため,光伝送の中継間隔や伝送容量を拡大していくためのキーデバイスの1つ。

光ファイバ増幅器には,①Er3+添加ファイバ増幅器(EDFA:Erbium-Doped Fiber Amplifier)に代表とされる希土類添加ファイバ増幅器と,②誘導ラマン散乱現象を用いて光増幅を行うファイバラマン増幅器(FRA:Fiber Raman Amplifier)がある。

① 希土類添加ファイバ増幅器:希土類元素の持つ誘導放出遷移を利用して増幅を行うため,希土類の種類により増幅できる帯域が限定される。Er3+はS,C,L帯,Tm3+(Thulium)はS,U帯,Pr3+(Praseodymium)はO帯の光増幅として使用される。

② ファイバラマン増幅器:希土類添加ファイバ増幅器に比べ励起効率の面で課題があるものの,増幅したい波長帯の短波長側(石英ファイバの場合,1500nm帯では約100nm短波長)に励起光を入射することによって,任意の波長の信号を増幅可能であるという特徴がある。

*EDFAは,C帯(1530-1565nm)中の1530-1560nmの波長域,もしくはL帯(1565-1625nm)中の1570-1600nmの波長域に高利得・低雑音な増幅特性を有している。

◆《誘導放出遷移》

希土類元素は,光(励起光)を吸収して活発な状態になる。このような希土類元素が多くなると,特定の光(信号光)に共鳴して,信号光と同じ状態の光を発するようになる。この現象を誘導放出遷移と呼び,この結果,入射した信号光より多くの光を取り出すことができる。