ITS(高度道路交通システム)
Intelligent Transport Systems
交通渋滞解消,事故減少等,道路交通の安全と効率化を目指して,車や道路を情報化(インテリジェント化)するシステムの総称。最先端の情報通信技術等を用いて,人と道路と車両とを一体のシステムとして構築することにより,ナビゲーションシステムの高度化,有料道路等の自動料金収受システムの確立,安全運転の支援,交通管理の最適化等を図ろうとするもの(図)。
日本の「VICS(道路交通情報通信システム)」はその一例で,世界に先駆けて1996年4月からサービス開始されている。走行中の自動車内カーナビゲーション装置へ渋滞,事故,駐車場等の交通情報を地図や図形,文字でリアルタイムに提供する。ITSは100社以上の企業が参加する国家プロジェクトで,その市場規模は60兆円(2015年までの累計)といわれている。
◆ 《ITS世界会議》
ITS実現に向けた国際協調を目指し,毎年開催されている。
1994年パリ(第1回)に始まり,1995年横浜(第2回),1996年オーランド(第3回)にて開催。欧米アジアの持ち回りで毎年開催される。
◆ 《ITSアメリカ》
1990年8月に米国でITSを推進する産学官共同の組織として設立。設立当初はIVHSアメリカと呼ばれたが,1994年にITSアメリカと改称。
米国連邦政府は1991年12月に,総合陸上輸送効率化法(ISTEA:Intermodal Surface Transportation Efficiency Act)を成立させ,ITSを道路交通政策の中心的なプロジェクトに位置づけた。TSTEAの成立により,連邦政府の予算が交付されることとなったIVHSアメリカは,米国連邦運輸省(DOT:Department of Transportation)との連携により,ITSシステム・アーキテクチャ構築や新交通基盤の整備等のプロジェクトを推進していくこととなる。