用語説明

NTSC

National Television System Committee

1953年に制定されたカラーテレビの標準放送方式の1つ。米国,日本を中心に用いられている。米国でカラーテレビ放送方式の標準化を手がけた組織の名称が,そのまま方式名となった。走査線数525本で30フレーム/秒で映像を再生する。全走査線のうち映像信号が多重されている走査線数は483本である。アスペクト比(画面の横と縦の寸法比)は4:3。1枚の画面(フレーム)を2フィールドに分けて伝送する。NTSC方式に対して欧州ではPAL方式やSECAN方式が使われている。

PAL方式はフランスを除く西ヨーロッパ諸国で,SECAMは東ヨーロッパやロシア等で使われている方式で,走査線625本,毎秒25枚のフレームアスペクト比は4:3である。PALとSECAMでは色信号の表現方法が異なっている。

◆ 《インタレース走査信号》

飛び越し走査ともいう。日本の標準放送方式であるNTSC方式では,垂直方向の見かけ上の解像度を上げる目的で,飛び越し走査(インタレース方式)と呼ばれる方式が用いられている。これは最初のフィールドで1ラインごとに飛ばして走査し,次のフィールドの走査で飛ばしたラインを走査する。データ伝送量が半減する利点があるが,画面がちらつく等の問題もある。飛び越しなしで1回の走査で1画面を表示する方式をノンインタレースという。

◆ 《525本順次走査方式(525P)》

走査線数はNTSCと同じ525本だが,走査方式は順次走査,フレーム周波数は2倍の59.94 Hz。本方式は,NTSCとの変換が容易で,かつ高画質が実現できることから,NTSCとの互換性を維持しつつ高画質化を実現する日本の地上波高画質テレビ方式「ワイドクリアビジョン(EDTV-Ⅱ)の制作方式の1つとして採用されたほか,米国SMPTEにおいても規格化が完了している。

◆ 《インターラインフリッカ

NTSC等の飛び越し走査方式では走査線の通る位置が1/60秒ごとに縦方向にシフトするため,例えば横線等のエッジ部分では,1/60秒ごとに光ったり光らなかったりといったいわゆる「ちらつき」が起こることがある。これがインターラインフリッカである。受像機が高解像度,高輝度,大画面になるほど画質劣化が目立つことになる(図)。飛び越し走査方式は,1フレームを1本おきに2つに分け,それぞれを1フレームの半分の時間(NTSCの場合1/59.94秒)で伝送する方式で,見かけの時間解像度が2倍(59.94 Hz)になることから,アナログ時代における周波数有効利用の技術としては非常に優れた方式。

図_飛び越し走査方式と順次走査方式の比較

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