位相成分にも変調信号の情報を持たせるため，SSB信号に搬送波を付加した信号を送信し，「リミッタ＋周波数検波＋リニアライザ」から構成される受信機により情報を取り出す通信方式。チャネル間隔が5 kHzと狭い帯域の中で通常の電話でサービスされている音声，G3ファクシミリ，高速モデム信号やフルカラー静止画等の種々の信号が，高速で移動する移動体の中でも送信・受信できるように工夫されたもの。本方式は，ダイバーシチ受信技術によって高い伝送品質を確保している。中間調画像をG3ファクシミリで送る場合でも，誤り訂正符号等の技術を用いなくてもきれいな画像が受信できる。また例えば，19.2 kbit/sの高速音声モデム信号に対する周波数利用効率は19.2 kbit/s/5 kHz＝3.84 bit/s/Hzと非常に高い値になる。位相成分のみを利用するためフェージングや干渉に対する耐力が強く，しかもSSB信号であるため狭帯域である。

SSB変調は，原理的に情報信号の帯域と同じ帯域で送信できるので，最も狭帯域な変調方式。RZ SSB変復調技術は，２つの技術をディジタル処理によって高度に結合させたもので，１つはSSB変調技術で，もう１つはFM/PM波を復調する技術。