衛星通信サービス
通信衛星を使って画像やデータを伝送するサービス。同報性・マルチアクセス性・耐災害性など,衛星通信の特長を最大限生かしている。衛星通信サービスには,伝送速度に対応した周波数帯域幅をお客さまが契約して利用する衛星帯域通信サービス(SBCS)と,64 kbit/s~1.5 Mbit/sまでの5つの速度クラスをそろえた衛星ディジタル通信サービス(SDCS),アナログ映像伝送を行う衛星ビデオ通信サービス(SVCS)とがある。1970年代に米国で本格化して以来,先進各国で順次サービスが進んでいる。電話線など地上回線を使った通信と比べると,衛星通信は全国に同時に同一情報を伝達できるという特徴を持つ。回線の周波数帯域が広く,動画のフル送信も可能である。このためCATVに番組を流すなどの新サービスができるようになった。現在は,映像をそのまま衛星回線を通じて送るアナログ方式が主流である。しかし,最近では映像信号を0と1の組み合わせに転換して送るディジタル方式も普及しはじめた。この方式だと,1本の回線で複数の画像が送れるほか,送信時の画像劣化も防げるなどの利点があるため,順次ディジタル方式への転換が進むものとみられる。
NTTが行っている衛星通信サービスには,(1)NTTが保有するN-STARを用いて行う公衆系の衛星通信サービスと,(2)日本サテライトシステムズ(JSAT)社の衛星を用いて行う専用系の衛星通信サービス,がある。
(1) N-STAR
NTTが所有する通信衛星。スペースシステムズロラール社(米国)より調達し,1995年8月にa号,1996年2月にb号が打ち上げられ,現在2台を使用している。設計寿命は10年以上。NTTが地上回線を用いて提供しているサービスの信頼性向上とコストの低減を目的として,離島通信,災害対策,地上網補完,孤立防止等の衛星通信サービスが提供されている。また,NTTドコモ(株)が地上系サービスのエリア補完を目的として衛星移動通信サービスを提供している。
(2) JSAT社衛星
アナログ映像を伝送する衛星ビデオ通信サービス,データ伝送を行う衛星ディジタル通信サービス,任意の帯域幅で自由な利用が可能な衛星帯域通信サービス,がある。通年利用,長期利用,短期利用の各期間メニューがあり,例えば衛星帯域通信サービスの映像同報/長期利用は約10万9,000円/時間で提供している。利用事例として,遠隔講義および企業内のニュース配信や非常時連絡等がある。