用語説明

標準化活動

電気通信サービスの効率的な運用を確保するためには,ネットワーク間,ネットワークと端末機器および端末機器間の相互接続性・相互運用性を図ることが重要である。このためには,電話機,FAX,携帯電話等の端末機器および交換機,多重化装置等を含むネットワークの間でハード,ソフトの両面にわたって,様々なインタフェース規格の統一を図ることが必要であり,この規格統一のための一連の作業をいう。

主な目的は以下のとおり。

① ネットワークのオープンアクセス(オープン化)を促進する。

② サービスをユニバーサルに提供する。

③ ネットワーク設備,端末機器,関連部品等の共通化によって大量生産によるコストダウンを図り,機器市場の拡大,経済の活性化を促す。

④ 国際的な調達を可能とする。

NTTの行う標準化活動は,サービス提供に必須の項目から,公共的な項目まで広範囲におよび,標準化活動は大きく2つに分類される。

① サービスの拡充,業務の効率化等,ビジネス戦略上必須な標準化活動。これはネットワークおよび端末の相互接続性の確保等を目的として実施するものであり,最重点で取り組む領域である。

② ユーザ代表として協力する標準化活動。この領域では,企業規模にふさわしい活動を展開し,応分に寄与するようにしている。また,研究開発活動の副産物としての標準化提案については組織として認めた項目を絞ることにしている。

◆ 《国際標準化活動》

 (1) 公的標準(de jure standard)活動

ISO(国際標準化機構)IEC(国際電気標準会議)ITU(国際電気通信連合)等の公的機関において標準を作成する活動で最も歴史のある活動。インフラストラクチャ中心の標準化活動で,NTTでは主要な活動にマネジメントレベルまで参画している。

 (2) コンソーシアム,フォーラムと呼ばれる団体による活動

本活動は,市場競争のリスクを回避するために技術開発と標準化に関心を持つ企業が集まり,規格を統一しようとするもの。技術が高度化,複雑化した今日では,その技術に関するIPR(Intellectual Property Right;知的財産権)を1社が独占することは極めて困難であり,他社との協力が必要である。そこでビジネス戦略上のアライアンスの一種としてフォーラム活動が生まれた。本活動は技術の融合化にこたえにくい,また国の利害に左右される公的標準活動の問題を回避する標準開発者を主体とする活動であり,一般的には政府と独立の活動を行っている。

 (3) 企業単独,または企業連合によるデファクト(de facto standard;事実上の標準)化を目指した活動

デファクトとは市場競争の結果,支配的になった規格のことで,「市場を制したものが標準になるのであって標準を制したものが市場を握るわけではない」という言葉がデファクトの本質を象徴している。デファクト・スタンダードの代表的な例としては,VTRのVHS規格やパソコンのWindows95,IBM-PC互換機等がある。