IN(インテリジェントネットワーク)
Intelligent Network
通信網の1つの構成の概念を示すもので,お客さまの多様なニーズに即応したサービスの提供,マルチベンダ化などを狙いとしている。従来のサービスは交換機に直接機能追加をして実現しているため,交換機ごとの実現方法となっている。これに対して,INでは,まず機能的に交換機能から独立した機能でサービスを実現する。これをサービス制御機能と呼んでいる。サービスの実現方法としては,お客さまからの呼ごとのサービスの要求を交換機能が検出すると,サービス制御機能にその後の制御を問い合わせ,サービス制御機能からの指示に基づいて,その後の呼処理を実現する。INの特徴は,このサービス制御機能からの指示をサービスごとに規定するのではなく,種々のサービスに共通な能力として規定している点である。これにより,すでに実現されている能力を用いる範囲の新しいサービスであれば,交換機能を変更することなく,サービス制御機能に新しいサービスの仕様を実現する機能を追加することで,新しいサービスの実現が可能である。このようなサービスに共通な能力は,新しいサービスの発展により徐々に拡大されていく。このような構成とすることで,種々の多数の交換機を変更を極力押さえて新しいサービスが実現可能となる。また,サービスに関わる運用・管理にかかわる機能も交換機やサービス制御機能から独立して設けている。これらの機能は独立した装置として実現されるのが一般的であるが,複数の機能をまとめて1つの装置で実現することも許容している。NTTの場合,交換機,NSP,NSSPという構成で実現している。このようなINの詳細な機能分担やインタフェースはITU-Tで国際勧告化されており,ITU-Tでも,サービスに共通な能力を段階的に規定するため,能力セット1,2,3・・という発展的な検討計画を定めている(図)。
◆ 《SSP(Service Switching Point)》
INの網構成で用いられる交換機で,サービス実現のためにサービス制御機能からの指示に基づき,動作するサービス共通な能力を提供する。
◆ 《INSUT(IN Surveillance and Testing System)》
INにおいて,サービスの提供状況を監視・試験し,サービス対応のオペレーションを行うシステム。
◆ 《能力セット1, 2, 3(CS:Capability Set 1, 2, 3)》
ITU-Tで標準化するINで,各時期ごとに規定されるサービス実現のための共通機能群の総称である。能力セット1は,1995年に完成し,2者間の電話交換サービスでの条件に応じた接続先変更,課金の変更,種々のガイダンス提供を可能としている。能力セット2は,1996年に技術的に完成し,ISDNを含む会議通話などの多者接続,PHSの位置登録など呼接続を伴わない制御などの点で能力セット1から拡張されている。能力セット3は,1998年の完成の基で,新しい携帯電話サービスの実現やB-ISDNへの適用などが検討範囲の候補に上げられている。
◆ 《IN(Intelligent Network)系サービス》
INを利用したサービスで,具体的なサービスとしてはフリーダイヤルやダイヤルQ²サービス等がある。
◆ 《SCP(Service Control Point)》
INにおけるサービス制御ノード(NTTではNSPに相当する)。