To view PDF files

You need Adobe Reader 7.0 or later in order to read PDF files on this site.
If Adobe Reader is not installed on your computer, click the button below and go to the download site.

5月号 2025 Vol. 23 No. 5

Front-line Researchers

■ 概要
解決したい問題を数式で表し、問題に対する最適な解を求める最適化問題は、従業員の出勤の頻度や時間帯が均等になるシフトの作成や、利益を最大化するための商品の生産量の決定など、あらゆる方面で応用されており、さまざまなアプローチがあります。AI(人工知能)の普及に伴い、最適化問題の解決にAIを活用する機会も増えています。こうした応用だけではなく、AIの機械学習そのものにおいても最適化が活用されています。概念は古くからある最適化のアプローチを、「音源分離」「ハードウェア向けのニューラルネットワークの訓練方法」の研究に取り入れて新たな成果を創出する、NTTコミュニケーション科学基礎研究所 澤田宏上席特別研究員に、「音源分離」「ハードウェア向けのニューラルネットワークの訓練方法」の研究アプローチとその成果、自分の技術の軸足をもって他分野との接点をとることの重要さを伺いました。

Rising Researchers

■ 概要
人間どうしのコミュニケーション用途だけではなく、さまざまなデバイスもインターネットにつながる時代になりました。その反面、インターネット上で流通する情報は、多岐にわたり個人情報や機密情報だけでなく、デバイスが発する情報が傍受され、犯罪などに悪用されるリスクも高まっています。通信の第三者の傍受を防ぐ「共通鍵暗号」の分野で、IoT(Internet of Things)デバイスの通信を想定した「軽量暗号」を研究されている佐々木悠特別研究員にお話を伺いました。

Feature Articles: The Frontiers of Ultrafast Optical Physics Research

■ 概要
2023年ノーベル物理学賞の対象となったアト秒パルスは、アト秒領域の時間幅を持つ極端紫外光パルス(列)です。アト秒パルスの時間幅は、典型的な光の1周期よりも短く、その時間スケールでは、光はサブペタヘルツ(PHz=1015Hz)周波数で振動する電界としてとらえ直すことができます。本稿では、“アト秒科学”の時代を切り拓いたアト秒パルス発生技術について解説し、NTT物性科学基礎研究所が進めるアト秒パルスレーザ技術と、ペタヘルツ電界−電子系相互作用ダイナミクスに関する超高速光物理研究の概要と展望について紹介します。
■ 概要
アト秒光パルスは現状人類が持つ最短の光パルスであり、極限的な超高速現象を露わにするための重要な要素技術です。しかし、現在のアト秒光パルスは光量が乏しく、多様な分光技術への応用において深刻な制約となっています。本稿では、次世代の高輝度アト秒分光技術実現に向けた、高輝度アト秒ドライバ光源の開発について紹介します。
■ 概要
トポロジカル光波はレーザ光のビーム断面方向に特異な幾何学空間形状を持った光であり、既存技術によって赤外から可視光領域では光通信をはじめとして分光、レーザ加工、光ピンセット(光操作)など多様な応用が期待されています。このような特異な光を高次高調波発生によりつくり出すことで、これまでにない極端紫外領域の波長やアト秒といった時間精度と組み合わせた極限光計測技術が可能になると期待できます。本稿では、高次高調波発生によるトポロジカル光波の生成にかかわる物理現象、およびその背後にある物理法則の世界初の実証について解説します。
■ 概要
単一アト秒パルスをプローブ光としたポンプ・プローブ型アト秒時間分解計測技術は、アト秒パルスの時間幅で超高速現象をとらえることが可能な人類が持つ最速のコマ撮り技術です。本稿では、本計測技術を構成する単一アト秒パルス光源の発生法と、もっとも基本的なアト秒時間分解吸収分光法について解説します。また、本分光法をワイドギャップ半導体に適用し、光波電界によって引き起こされる電子応答の実時間計測の成果について紹介します。
■ 概要
本研究は、光と物質の相互作用の物理限界を探求し、特に高強度光電場が引き起こす超高速電子ダイナミクスに注目しています。高強度光を念頭に、大振幅電場が半導体・絶縁体に印加された際のトンネル効果による電子の遷移率を量子ダイナミクスシミュレーションで評価しました。電子・正孔相互作用を含む理論モデルを用いることで、電子間相互作用がトンネル遷移率を増強すること、増強度が印加電場に応じて増大することを明らかにしました。

Regular Articles

■ 概要
大型の電源装置が不要なイオン導入技術を実現するため空気中の酸素と金属アレルギー頻度の低いMg(マグネシウム)を用いたMg空気電池に着目し、イオン導入パッチおよびシートマスクを提案します。その原理検証としてTOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)評価を実施し、有効成分のイオンマッピングと、そのラインプロファイルから、本イオン導入パッチを用いることで、有効成分浸透量が2倍程度向上していることがわかりました。Mg空気電池の原理を用いることで、有効成分の吸収を促進することが可能となり、本技術は携帯性に優れ、自宅で簡便に利用可能なイオン導入パッチ実現に寄与します。

Global Standardization Activities

■ 概要
近年のスマートフォンやPC・AV機器・生活家電などにおいて無線LANを用いたデータ通信量が急増しており、高速化・高品質化に必要となる無線LANが利用できる周波数の拡張に対する需要が増加しています。このような状況に対して、国際標準化機関の1つであるITU-R(International Telecommunication Union-Radiocommunication Sector)およびアジア太平洋地域の国で構成されるAPT(Asia-Pacific Telecommunity)では、無線LANの利用条件など制度面の議論が行われています。本議論はNTTの無線LANを扱う事業にとって重要であるため、NTTは各会合の日本代表団の無線LAN主担当として継続的に議論に参画しています。ここでは、最近のITU-R、APTにおける無線LANの議論の状況とNTTの取り組みについて説明します。

Practical Field Information about Telecommunication Technologies

■ 概要
光ファイバ通信設備においては、故障切り分けには一般にOTDR(Optical Time Domain Reflectometry)が用いられます。しかしながら、OTDRを用いた故障切り分けは、測定後の波形解析に高度なスキルと多大な作業量を要するという課題がありました。そこでNTT東日本技術協力センタでは、OTDR波形から異常区間を自動で判定する「OTDR波形良否判定ツール」を開発しました。本稿ではその概要を紹介します。

External Awards/Papers Published in Technical Journals and Conference Proceedings
外部での受賞もしくは投稿した論文の抄録

↑ TOP