NTT電子現金
NTT情報通信研究所(当時)が,機能的に理想型を目指した電子現金システム。ICカード上にもパソコン上にも実現でき,市中およびネットワーク両方での利用に対応できる。また,決済のたびに電子現金の正当性をセンタに照会しない仕組みとし,個人間での現金譲渡を可能としている。さらに,ブラインド署名によるプライバシー保護を実現しただけでなく,二重使用時にのみ不正者を特定できる機能を付加して不正追跡を実現した。日本銀行金融研究所とNTT情報通信研究所(当時)との共同研究の成果を取り入れ,次のような改良を加えた電子マネー実験システムを試作している。
① 不正使用防止対策の事後検出に加えて二重使用そのものを防ぐためのICカードによる情報の保護等の対策を強化することにより,極めて高い安全性を実現。
② 電子マネーの発行機関を別に設けることにより,複数の銀行による同一の電子マネーの提供が可能。
③ 二重使用検出のためのデータベース保持情報量の増加を還流してきた電子マネーは回収済みとしてデータベースから削除,データベースで管理されていない電子マネーを二重使用されたものとみなす,という検出方式により,従来に比べ必要とされるコンピュータ資源を大幅に削減。
④ 二重使用チェック等の方式の簡素化により,実用的な時間内に電子マネーを自由な単位に分割することや利用者間で譲渡することが可能。
◆ 《二重使用チェック技術》
NTT電子現金方式において使用される技術で,電子現金が不正にコピーして使用されたことを検出し,不正者の特定を行う。不正が行われていない場合は利用者の特定はできないようになっている。