用語説明

サブサンプリング

「入力信号の最高周波数の2倍以上の周波数でサンプリングすれば原信号を忠実に再現できる」という標本化定理(ナイキストの定理)に従わないサンプリング,すなわち最高周波数の2倍以下の周波数でサンプリングを行うことをいう。サブサンプリングを行うと折り返し歪が生じるが,HDTVのMUSE方式ではこの折り返しを逆に利用することによって,8.1 MHzの帯域に圧縮している。例として,輝度(Y)信号のサブサンプリングと折り返しスペクトラムの関係を図に示す。

① 元のY信号は,20 MHzの帯域を持っている。

② サブサンプリング周波数24.3 MHzでサンプリングを行うと12.15 MHzを中心に入力信号の高域成分が折り返される。

③ 低域通過フィルタで12.15 MHz以上の周波数成分を除去すると,12.15 MHz以内に帯域圧縮されたことになる。

④ サンプリング周波数を16.2 MHzで同じようにサンプリングすると,入力信号にあった8.1 MHz以上の高域成分が,8.1 MHzの帯域に含まれるようになる。

図_MUSE方式によるサブサンプリングと折り返しスペクトラム