用語説明

ニューラルネットワーク

生体の脳神経系の構造を単純化し模倣した,数理的かつ工学的なモデル。神経細胞をモデル化した単純な演算素子を,シナプス(神経細胞間の信号伝達のための接触点)に相当する重み付きのリンクで相互に接続した回路網である。この回路網は,学習による高い適応性,曖昧で不完全な情報の許容性,高い並列処理性等の特徴を持っており,認識や予測,制御等に応用される。一般的なニューラルネットワークの構成は,生物の脳の神経細胞(ニューロン)を手本に簡単化した神経細胞回路を多層のネットワーク状に結合した構造で,神経細胞数が多いほど複雑な処理が可能となるが,実用的なシステムを実現するには多数のニューロンを接続する必要があり大規模な計算機が必要となる。そこで,ニューロンの特性を利用し概算だけで全体の正確な計算結果を得るシナプス計数逐次計算法と,入力信号の差分成分のみを計算することで大幅に演算量を削減する差分型ニューロン演算法が考案され,さらにこのニューロチップ用演算回路とこれを並列動作させるニューロチップの開発により,スーパーコンピュータなどが必要であったシステムがパーソナルコンピュータなどに内蔵できる大きさに小型化できる見通しが得られている。

◆ 《学習誤差信号》

ニューラルネットワークの学習過程においては,ニューラルネットワークからの出力(これは,初期の時点では誤りが含まれている)と所望の正しい出力とを常に比較して,両者の差が小さくなるようにニューラルネットワークの内部状態に修正を施しながら学習を進めていく。このときの2つの出力の差に相当する信号を学習誤差信号という。