FLEX-TD(高度無線呼出システム)
1995年に(社)電波システム開発センター[現,(社)電波産業会(ARIB)]において標準化された無線呼出システムのこと。モトローラ社のFLEXTM方式にNTTドコモ(株)の時間ダイバーシチ(TD)技術を融合したシステムであることから,FLEX-TDという名で呼ばれる。本システムでは,呼出専用(トーンオンリ),数字・カナサービス,英数字サービス,自由文サービスのほかトランスペアレントサービスが基本サービスとして定義されている。トランスペアレントサービスにおいては,データ伝送のほかに,FAX情報,画像情報,音声情報などの伝送への拡張も考えられており,多様な情報の伝送が可能になると期待される。本システムは1996年3月からNTTドコモ(株)がサービスを開始した。
本システムの主要な特徴は以下のとおり。
① 最高6,400 bit/sまでの高速化により,従来方式と比べてシステム容量が飛躍的に大きく,多数の加入者の収容,より多くの情報の送信が可能。
② 時間ダイバーシチ(移動通信伝送路における伝送品質の劣化を軽減するために,送信側である時間間隔以上離して同一信号を複数回送信し,受信側でこれらの受信信号を合成することにより,良好な伝送品質を得る技術)により,高速化による所要電界強度の増大を最小に押さえ,サービスエリアを確保できる。
③ 受信機は伝送速度および送信回数の変化に自動的に追従する。このため,地域ごとに市場規模に応じたシステム容量の選択が可能であり,全国導入が容易。
④ 柔軟なフレーム構成により,長文,トランスペアレント(データ)伝送等高度なサービスへの対応が可能。
⑤ OTA(Over The Air pager Control)機能により,個々の受信機に対する制御が可能であり,情報提供サービスや輻輳対策に有効。
⑥ 日本統一方式であるとともに,国際ローミング機能・海外FLEXTM方式との互換性を有する国際的な方式。
◆ 《ネクスト》
1996年3月,FLEX-TD方式により開始された高度無線呼出システム。
モトローラ社のFLEXTM方式にNTTドコモ(株)の時間ダイバーシチ(TD)技術を融合した日本統一無線呼出方式。1995年6月に(財)電波システム開発センタ(RCR)によって標準化された。
特徴としては,最大6,400 bit/sまでの高速化,3段階の速度可変(1,600,3,200,6,400 bit/s),1~4回の送信回数可変,マルチエリア/ローミング機能の強化等がある。
FLEX-TDの高速無線呼出システムは電子メールを自動的にポケットベルに転送したり,インターネットから得た株価の変動の情報を逐次ポケットベルに知らせるなど,ポケットベルをインターネット/イントラネットに連動した各種ビジネス分野への応用が可能。