ETSI(欧州電気通信標準化機構)
European Telecommunications Standards Institute
欧州における単一電気通信市場の形成に必要な技術標準をつくることを目的に欧州郵便電気通信主管庁会議(CEPT:Conférence des Administrations Européennes des Postes et Télécommunications/European Conference of Post and Telecommunication Administration,1959年設立)の下,1988年3月に設立された標準化団体。
CEPTの技術部門の発展形態で,地域標準化機関としてITUに加盟している。日本のTTC(電信電話技術委員会)に相当。発足当時は126であった会員数も,会員数は正会員512(欧州35カ国),準会員74(欧州外より15カ国),オブザーバ64(1998年11月第31回総会時点)を数え,単一の欧州電気通信市場のみならず21世紀の世界市場を視野に入れたグローバル標準の策定を目指している。主に標準化活動の幅広い戦略的事項,政策,財政計画等を決定する意思決定最高機関であるGeneral Assembly(GA:総会),各種技術委員会の円滑な運営とETSI運営にかかわる日常的な決定を行う新設のBroad(評議会:25名で構成),標準化作業を具体的に行う技術委員会(TC:Technical Committee),ETSIプロジェクト(EP:ETSI Project)並びに各種特別委員会で構成される。
◆ 《TIPHON(Telecommunication and Internet Protocol Harmonization over Networks)》
インターネットによる音声通信とPSTN/ISDN/GSM通信ネットワークとの関係を検討する目的で1997年5月末に設置された新しいETSIプロジェクト。6つのワーキンググループにおいて,サービス相互運用性条件,課金,セキュリティの技術課題,呼制御手順,情報フローとプロトコル,Numbering,Addressing,サービス品質,認定,並びにインプリメンテーション等の諸課題について検討が行われている。
◆ 《UMTS(Universal Mobile Telecommunications Systems)》
欧州規格の第3世代移動体通信システムの名称。ETSIプロジェクトのSMG(Special Mobile Group)が標準化作業にあたっている。標準化の進め方の基本的な考え方は,現在世界100カ国以上で使用されているGSM(Global System for Mobile Communications;第2世代ディジタル携帯電話の欧州規格)およびISDNのコアネットワークを進化(evolution)させ,その延長上に高速のマルチメディア通信,を可能にする次世代ネットワークを構築する。
◆ 《BRAN(Broadband Radio Access Network)》
1997年4月に設立されたETSIプロジェクトが推進する次世代高速無線アクセスシステム。高速ビットレートのデータ伝送(ユーザビットレート6 kbit/s~16 Mbit/s),Managed QoS(サービス品質保証),低価格で柔軟な運用を特徴としている。
BRANには以下の3種類のネットワークがある。
(1) HIPERLAN/2
コンピュータ端末と広帯域コアネットワーク(広帯域ATMネットワークやIPネットワーク)とを接続する高速無線LAN。主に短距離(<200 m)の屋内のLAN環境で使用される。
(2) HIPERACCESS
屋外で用いられる高速無線アクセス回線。一般家庭,小規模の事務所を主な対象にしていて,DSL(Digital Subscriber Line;ディジタル加入者線)やケーブルモデムに代わる高速アクセス回線として期待されている。
(3) HIPERLINK
超高速無線リンクで,主にHIPERACCESS間,HIPERLAN間同士の接続やHIPERACCESS-HIPERLAN間の接続に用いられる。
◆ 《EASI(ETSI Project ATM Services and Interoperability)》
1997年1月に欧州主要オペレータから構成されるETNO(European Telecommunications Network Operators association)が相互運用可能な(interoperable)ATMサービスの導入を目的にATM MoUワーキンググループを設立し,それに呼応した形で同年10月にATM MoUに対応する標準を策定する目的で発足したETSIプロジェクト。