To view PDF files

You need Adobe Reader 7.0 or later in order to read PDF files on this site.
If Adobe Reader is not installed on your computer, click the button below and go to the download site.

8月号 2015 Vol. 13 No. 8

English

Feature Articles: Frontier Research on Low-dimensional Semiconductor Physics

■ 概要
ICTを支える半導体テクノロジの進歩は著しく、近年、高度な微細加工や結晶成長の技術を駆使することにより、電子1個や原子1個といった究極レベルの制御が可能となってきています。特に、電子を微小領域に閉じ込める低次元半導体を用いることにより、粒子や波としての電子の極限的な制御が実現されつつあります。本特集では、NTT物性科学基礎研究所で進めている低次元半導体に関する最新の研究成果を紹介します。
■ 概要
単電子転送は正確な電流を生成できる技術であり、電流標準への応用が期待されています。これにより、基礎物理定数の正確性を確かめる量子計測三角形の実験や近年提案されたアンペアの再定義につながる可能性が考えられます。NTT物性科学基礎研究所ではシリコントランジスタを利用した単電子転送に取り組んできました。本稿では、トランジスタで電気的に形成した微小領域やシリコン中に存在するトラップ準位を介した高速単電子転送を紹介します。
■ 概要
集積回路などを構成する電子デバイスの縮小化とともに、ノイズがデバイスに与える影響が大きくなっています。特に、これまで問題にならなかった単一電子に起因するノイズも顕著になると予想されています。本稿では、ナノメータ・サイズのシリコントランジスタを用いて、ノイズを単一電子の分解能で分析する技術を紹介します。
■ 概要
シリコンは今日のエレクトロニクスを支えるもっとも重要な半導体材料の1つであり、代表的な間接遷移型半導体として知られています。間接遷移型半導体では、電子と正孔の運動量が異なるため効率的な発光が望めず、発光デバイスの実現は困難と考えられています。NTT物性科学基礎研究所では、特殊なシリコン・シリコン酸化膜界面で発現するバレー分離と発光の起源の類似性に着目し、バレー分離がゲート電界により制御可能であることを利用して、シリコンの直接・間接光学遷移のゲート電界制御を実現しました。
■ 概要
半導体中の電子は「自由電子」と呼ばれ、半導体の中を波のように広がって自由に動き回っています。一方で電子は負の電荷を持っているためお互い反発し、低温・強磁場下では結晶を構成する原子のように互いに距離を保って整然と並び、動かなくなると考えられています。本稿では核磁気共鳴を用いて半導体中の電子が結晶化する様子を観測した実験について紹介します。
■ 概要
原子操作とは、原子の数と配列を精密に制御して微細構造を形成する技術です。高品質な半導体結晶をエピタキシャル成長した基板にこの手法を適用すると、これまで不可能であった、原子精度で均一な量子構造の作製や集積化が可能になり、シリコン技術の限界を超えた次世代電子技術への応用が期待できます。本稿では、化合物半導体表面における原子操作と、原子操作で実現した超精密量子ドットおよびその結合構造に関する実験を紹介します。
■ 概要
従来の物質の分類には当てはまらない新しい物質の形態であるトポロジカル絶縁体は、特異な電気伝導が期待され電子デバイスや量子コンピュータへの応用に向けて注目を集めています。本稿では半導体材料を用いた人工的なトポロジカル絶縁体の実現について紹介します。

Regular Articles

■ 概要
圧電トランスデューサを埋め込んだ機械共振器において非線形性を動的に制御することにより、フォノンに対する非縮退パラメトリック周波数下方変換を実現しました。この手法を巨視的な2つの機械振動モードに適用し、機械振動の20 dB以上の増幅ならびに5 dBの熱振動圧縮に成功しました。これらは2モードスクイージングと呼ばれる手法をフォノン系に対して実現したものです。本手法を将来単一フォノン系に対して適用することができれば、これまで困難であったフォノンの量子もつれ状態を生成することが可能となります。
■ 概要
NTTグループのIP電話網において、ユーザの増加に対する収容率向上と、運用コストの低減、および災害時の復旧時間短縮の課題がありました。本課題の解決に向けて、HSS(Home Subscriber Server)を開発してIP電話網の運用の容易化、設備利用率の効率化を検討してきました。ここでは、HSSの導入による新しいシステムアーキテクチャを紹介するとともに、課題解決の仕組み、および効果を説明します。
■ 概要
近年、モノとモノとをつなぐM2Mサービスの普及が期待されています。NTT未来ねっと研究所では、M2Mでの無線利用に向けて1万台を超える端末の収容と、数100台の端末の移動検出を同時に実現する高収容プロトコル技術を開発しました。本技術は多数の在庫管理を行いつつ、素早い入出庫管理の実現が必要な物流用途に適用され、2015年度よりパレット管理システムとして実用化されています。ここでは、高収容プロトコル技術の概要と、実用化に向けた物流用途での検証について紹介します。

Global Standardization Activities

■ 概要
ITU-Tの新しい取り組みとして、2017年からの次会期の標準化検討組織体制を議論するレビュー委員会が2012年のWTSA(World Telecommunication Standardization Assembly)で設置が合意されました。また、ITU-Tの新しい検討分野として、デジタル金融サービスに関するフォーカスグループ(FG-DFS: Digital Finance Service)が、2014年6月のTSAG (Telecommunication Standardization Advisory Group)で設置が合意されました。ここでは、2015年1月にチュニス(チュニジア)で開催された第4回レビュー委員会と、2014年12月にジュネーブ(スイス)で開催された第1回FG-DFSの会合について報告します。

Practical Field Information about Telecommunication Technologies

■ 概要
所内で発生しているアクセス系設備の最近の故障事例と対策について解説します。具体的には、①ケーブル撤去時の故障事例、②光ケーブル終端架におけるケーブル断線事例、③光線路に試験光を挿入するための光分岐モジュールの故障事例を紹介します。隔月で掲載する、通信技術の基礎知識をテーマとするシリーズ第30弾です。今回は、NTT東日本 ネットワーク事業推進本部 サービス運営部 技術協力センタ アクセス技術担当の方にご協力いただきました。

External Awards/Papers Published in Technical Journals and Conference Proceedings

↑ TOP