To view PDF files

You need Adobe Reader 7.0 or later in order to read PDF files on this site.
If Adobe Reader is not installed on your computer, click the button below and go to the download site.

10月号 2025 Vol. 23 No. 10

View from the Top

■ 概要
情報通信インフラ関連業務をとおして培った技術力とパートナーの皆様との共創を通じて、設備の老朽化、労働力不足、環境問題、災害対策など、社会のさまざまな課題に挑戦するNTTインフラネット。日本の社会インフラ全体の最適化と持続可能性に大きく貢献する取り組みに注目が集まります。新しい時代における社会インフラの構築・運用を手掛ける上原一郎NTTインフラネット代表取締役社長に事業展開とトップとしてのあり方を伺いました。

Front-line Researchers

■ 概要
最近、ランサムウェアによる情報流出、DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃による交通機関混乱、生成AI(人工知能)悪用の不正プログラムによる偽契約・転売、SQLインジェクション攻撃や不正アクセスによるデータ改ざん、ディープフェイクを悪用した詐欺等、サイバー攻撃による被害が国内外で発生しています。こうした被害に遭遇しないために、サイバー攻撃そのものを食い止める手段、サイバー攻撃の影響・波及を極小化する技術、人間の心理や行動による防御といった多角的な側面からの対応が必要となります。「人間中心のセキュリティ」「オフェンシブセキュリティ」「社会技術的情報セキュリティ」の観点から研究に取り組んでいる、NTT社会情報研究所 秋山満昭上席特別研究員に、サイバーセキュリティに関する3つのテーマとその共通領域における新たな研究、自分の経験や知識だけを頼りに固執しようと思わず、疑うことやアップデートすること、相互理解、モチベーションの共有を図るという考え方を伺いました。

Rising Researchers

■ 概要
近年、インターネット界隈で横行するサイバー攻撃を防ぐためにはデータや通信内容の「暗号化」が必須です。また、2030年代には量子計算機(量子コンピュータ)が実用化される見込みです。この量子計算機は、特定のタスクにおいて従来のコンピュータの1億倍の性能ともいわれます。この量子計算機が普及すると、社会のデジタル化はさらに進展し、それを支えるセキュリティ技術の必要性も一段と高まります。今回は、量子技術を利用した次世代の「公開鍵暗号技術」研究のトップランナー、北川冬航特別研究員にお話を伺いました。

Feature Articles: NTT R&D at Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan

■ 概要
本特集では、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)におけるNTT研究所の取り組みについて、NTTパビリオン関連を中心に最新の技術およびその活用方法を紹介します。特集冒頭の本記事では、NTTが万博で伝えたい思いの1つである「まるで隣にいるような、存在を感じる未来のコミュニケーション」の概要について解説します。
■ 概要
本稿では、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のNTTパビリオンで展示されている、音楽ユニット、PerfumeのパフォーマンスをIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)でリアルタイムに伝送した取り組みと技術内容について紹介します。本取り組みでは、吹田市の万博記念公園と夢洲のNTTパビリオンをIOWNでつなぎ、NTTで研究開発している動的3D空間伝送再現技術と触覚振動音場提示技術によって、離れた場所でパフォーマンスをしているPerfumeが目の前に現れるような体験を実現しています。
■ 概要
NTTパビリオン屋外中間領域に、触覚で人の存在を伝え合う「ふれあう伝話」と、物語を聴く「せかいがきこえる伝話」を展示しています。「ふれあう伝話」はIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)による低遅延通信で振動も共有し、新しい触れ合いを体験可能にします。「せかいがきこえる伝話」ではレトロな電話機を使い、多様なつながりの物語を聴くことができます。これらはこれまでの、そしてこれからのコミュニケーションを伝え合うメディアとしての体験展示です。
■ 概要
今回の2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、24時間いつでも体験可能な「バーチャル万博」も開催されています。バーチャルNTTパビリオンでは、夢洲のリアル会場と連動したコンテンツを提供しており、さらにリアル会場の1テーマである「Another Me®」の世界観を感じてもらえるよう、未来の職業に就いた自分とコミュニケーションすることができ、それを通して自分の新たな可能性を感じてもらうコンテンツ「Another Me Planet」を提供しています。本稿では、Another Me Planetの内容ならびにそれを実現する技術について紹介します。
■ 概要
稿では、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)におけるNTTパビリオンの未来のコミュニケーション創出のコンセプトの1つである「感情を纏うパビリオン」を実現している、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)光コンピューティングとMediaGnosisの取り組み、および、NTTパビリオンへ訪問されるお客さまへの安心・安全を提供している、IOWN光コンピューティングと身体行動理解技術の取り組みについて紹介します。

Feature Articles: Exploring Humans and Information through the Harmony of Knowledge and Envisioning the Future

■ 概要
NTTコミュニケーション科学基礎研究所(CS研)では、情報と人間を深く理解し究める基礎研究と、その理解から得られた知見に基づき、情報と人間をつなぐ基盤技術を創出することにより、人と人、人とAI(人工知能)、さらには人と社会との「こころまで伝わるコミュニケーション」の実現に向けた研究開発を行っています。本稿では、CS研における最新の研究の取り組みについてその一部を紹介します。
■ 概要
人と人との共感や絆は、私たちがいきいきとした良好な状態、つまりウェルビーイングを維持するうえでとても大切です。では、共感や絆はどのようにして生まれるのでしょうか。また、共感を抱き、絆を深めることを支援するためには、どのような情報を伝え合うことが大切なのでしょうか。本稿では、共感や絆の形成における身体の役割に注目し、共感が生じるメカニズムを調べた研究を紹介します。加えて、離れて過ごす家族の絆を促進するために、遠隔コミュニケーションにおいて、身体を介した相互作用を応用する試みについても紹介します。
■ 概要
対話システムが人間の日常生活に溶け込み、「気の利いた」会話ができるようになるには、会話の場面や対話者どうしの関係を認識し、適切な間合いで応答を行うといった「空気を読む」能力が求められます。私たちはこれまで、「空気を読む」対話システムの実現をめざし、さまざまな対話処理技術の研究に取り組んできました。本稿ではそのうち、日常会話のシーンを理解する対話状況認識、対話者間の心理的距離感を理解する親しみ認識、人間の対話のテンポに追随するためのインクリメンタル応答生成の3つの研究をピックアップして紹介します。
■ 概要
音や画像などメディア情報から意味の抽出に有用な特徴量を学習する表現学習は、AI(人工知能)による優れたデータの理解を可能にしました。本稿では、私たちの身の周りのさまざまな音をAIに理解させるための音の表現学習技術を紹介します。学習した表現は、動物の鳴き声の分類や音楽ジャンルの識別など、音の理解にかかわる幅広い問題に応用できます。私たちは、表現学習の中でも、音データだけを用いて学習を行う「自己教師あり学習」を活用して技術を深化させており、さらに大規模言語モデルを活用した文章の意味と対応付ける音の理解へと発展させています。
■ 概要
近年さまざまな生体情報のデータ解析によってメディカルヘルスケアの推進につながる数多くの知見が得られるようになってきました。一方で、人々の生命や健康と密接にかかわる分野でのAI(人工知能)の利用においては、特にその解析・予測・判断におけるリスク・不確かさの評価が重要な課題として注目されるようになってきています。本稿では、モデルが生体現象を説明する際に無限に存在し得る仮説を考慮することで、データ解析のリスク・不確かさを明示的にとらえさせようとする機械学習手法について解説します。
■ 概要
技術の進展により、ロボットが子どもの生活にかかわる機会が増えています。近い将来、ロボットは幼児教育を支える学習コンパニオンとして、私たちの生活に浸透していくと考えられます。しかし、子どもがロボットをどのように認識し、受け入れているのかについては十分に解明されていません。本稿では、子どもがロボットから知識を学べるのか、ロボットとの社会的インタラクションが子どもの行動や心の感じ方にどのような影響を与えるのかを探る実験心理学的研究を紹介します。

Regular Articles

■ 概要
本稿ではマイクロトランスファープリンティングを用い、III-Vメンブレンレーザをさまざまなプラットフォームに転写した成果について報告します。III-Vメンブレンレーザはその強い光閉じ込め効果から高い変調効率を有し、また薄膜であることからプラットフォーム層と単純な構造で光結合が可能であるという特徴を有します。シリコン導波路上においては40 Gbit/s直接変調を低バイアス電流にて実証しました。また、薄膜ニオブ酸リチウムに形成したマッハ・ツェンダー変調器への転写にも成功し、128 Gbit/sでの変調動作を得ることに成功しました。本成果はマイクロトランスファープリンティングが多様な光プラットフォーム上へのIII-V材料の転写に適していることを示しています。

Global Standardization Activities

■ 概要
ITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合電気通信標準化部門)のTSAG(Telecommunication Standardization Advisory Group:電気通信標準化諮問会議)が2025年5月26〜30日の期間にスイス・ジュネーブのITU本部とオンラインのハイブリッドで開催されました。今会期(2025〜2028年)初めてのTSAGであり、主にTSAGの体制やTSAG配下のWP(Working Party)、RG(Rapporteur Group)の活動方針に関する議論が行われました。本稿ではTSAGの概要と主な審議内容について紹介します。

Information

■ 概要
NTTコミュニケーション科学基礎研究所では、最新の研究成果を多くの方々に知っていただくイベントとして、2025年5月20〜22日の3日間、大阪・京橋にあるNTT西日本i-CAMPUS内のQUINTBRIDGEとPRISMを会場に「オープンハウス2025」を開催しました。来場者は完全現地参加型の事前予約制とし、1078名(昨年比2割増)の方々にご来場いただきました。本稿ではその開催模様を報告します。

External Awards
外部での受賞

↑ TOP