To view PDF files

You need Adobe Reader 7.0 or later in order to read PDF files on this site.
If Adobe Reader is not installed on your computer, click the button below and go to the download site.

5月号 2024 Vol. 22 No. 5

English

View from the Top

■ 概要
あらゆるモノを「つなぐ」情報通信ネットワークを構成する基盤技術、および持続可能で豊かな社会を創るための革新的な環境エネルギー技術の研究開発を推進するNTT情報ネットワーク総合研究所。IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)、ロバストネットワーク、環境エネルギーを三本柱として、サステナブルな情報社会基盤の実現に貢献し、新たな価値提供をめざす、NTT情報ネットワーク総合研究所の辻ゆかり所長に、研究開発戦略とトップとしての心構えを伺いました。

Front-line Researchers

■ 概要
スマートフォンの登場で一気に普及が進んだ移動通信。そして、高速・大容量、低遅延、他端末同時接続等の特長がある5G(第5世代移動通信システム)サービスも広まりつつあり、さらに、国際標準化機関である3GPP(3rd Generation Partnership Project)では6G(第6世代移動通信システム)についての初期検討も始まっています。こうした移動通信の発展を技術的基盤として支えているのが、無線通信技術です。サブテラヘルツ帯を用いて合計1.44 Tbit/sの大容量無線伝送に世界で初めて成功した、NTT未来ねっと研究所 李斗煥上席特別研究員に、世界トップデータを出した技術、「電波を使い切る」研究、「研究で社会や人を幸せにするためには、自分が幸せになる必要がある」という思いを伺いました。

Rising Researchers

■ 概要
NTTが推進する6G(第6世代移動通信システム)/IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)時代では、光技術を駆使した次世代通信ネットワークが実現されます。しかしそこで問題になっているのが暗号化の技術です。たとえ光回路が実現されたとしても、暗号演算が現在のままでは遅延や無駄な電力消費が発生してしまい、光技術のメリットを十分に活かすことができません。NTTではこの課題を解決するため、従来電子で行われていた暗号演算の複雑な処理を光に置き換えようとする研究に取り組んでいます。今回は、IOWN時代に対応した「光演算手法」を考案して「光暗号回路」を実装した高橋順子特別研究員にお話を伺い、光暗号技術研究の現在と未来の見通しについて語っていただきました。

Feature Articles: Recent Updates on Bio-soft Materials Research

■ 概要
生体にやさしいソフトマテリアルのユニークな加工技術を創製し、バイオ材料と組み合わせることで、研究の幅とその応用可能性が飛躍的に高まりました。NTTが掲げる医療健康ビジョンの下、医療・医学への貢献に向けた新しい基盤技術が生み出されています。本稿では、NTT物性科学基礎研究所でのバイオ・ソフトマテリアル研究の最新の展開について紹介します。
■ 概要
臓器のような高次機能を培養細胞で発現・維持するためには、細胞を育てる環境をいかに生体内に近づけるかが重要です。NTT物性科学基礎研究所では、生体に類似した性質を示す材料であるハイドロゲルを、生体器官を模した薄膜・管状構造へとチップ上で形状制御する技術を確立しました。本稿ではさらに、光刺激で大きく・素早く・任意領域を動かせる運動素子へと展開し、生体器官さながらに運動制御する技術について紹介します。
■ 概要
神経や脳の機能は、細胞どうしの電気的信号のやり取りにより成立しています。私たちは、生体に適合した導電性材料や微細加工技術を駆使することで、立体変形の可能な電極を並べたチップを作製し、神経細胞の集まった立体的な神経ネットワークからの電気的信号の計測を可能にしました。そして、そのチップ上で計測された電気的信号を時空間的に解析することにより、脳の神経細胞がどのような仕組みで働くのかを調べることができるオンチップ培養脳モデルを創出しました。
■ 概要
脂質や膜タンパク質は細胞間との情報伝達だけでなく、細胞内の小胞輸送など多くの反応にかかわっています。細胞の反応を分子レベルで理解するためのボトムアップアプローチとして人工細胞膜の研究に取り組んでいます。細胞膜の基本構造である脂質二分子膜に膜タンパク質を導入し、評価するためには、さまざまな要素技術が必要です。本稿では、細胞膜モデル基板の創出に向けた挑戦について紹介します。
■ 概要
超伝導量子計算機の開発競争を背景に、近年発展の著しい超伝導量子回路技術が量子センシング分野に応用されています。これまで、超伝導量子センサによるオンチップ測定のターゲットは半導体中の不純物等に限られていましたが、応用範囲はそのような「固い」材料に限りません。本稿では、超伝導磁束量子ビットを応用した高感度・高空間分解能磁場センサによる神経細胞中の鉄イオンの検出について紹介します。

Feature Articles: Urban DTC for Creating Optimized Smart Cities Attentive to the Individual

■ 概要
デジタルツイン(DT)の仕組みを活用した、スマートシティに関する取り組みを解説します。本特集では、全体最適化されたスマートシティの考え方について概説したのち、デジタル化されたデータとAI(人工知能)を活用した各種サービス、およびそれらが相互に連鎖することで全体最適化を実現する統合基盤、さらには広域でエリア連携するサービス事例、そしてこれらのドメイン横断的なサービス提供を容易に実現するためのAI価値基盤について順に解説します。
■ 概要
街区にはさまざまなステークホルダが存在し、それらの利害関係にはトレードオフがあります。デジタルツイン統合基盤は、複数のデジタルツインの予測値を基にトレードオフのバランスが取られた状態を計算することで、Social Well-beingの実現をめざします。また、複数サービスにまたがる行動を1つのIDで把握することにより、行動前後の文脈を踏まえた個人に寄り添うサービスを統合アプリが提供します。
■ 概要
現状のオフィスは画一的な空調制御がなされており、人によって寒く感じたり暑く感じたりするなど快適な環境を空間が提供できていません。そこで私たちは、個々人の好みに合った温度の空調を提供することで、オフィスの利用者がより働きやすく快適でパフォーマンスを発揮できるオフィスの実現をめざしています。本稿では、消費エネルギー削減と個々人の快適性を両立させる空間制御の取り組みについて紹介します。
■ 概要
スマートカートによるセルフスキャン型店舗や、一切レジを通らずに手ぶら購買が可能な店舗など、小売店のICT化が進んでいます。このような店舗では、ID付きのPOSデータや、店舗内動線などの行動データを取得できるため、従来実店舗では不可能だった、顧客が購買に至るまでの行動を把握できます。このようなデータを店舗デジタルツイン(DT)として活用し、販促施策や運営の効率化に活用するための取り組みについて本稿で紹介します。
■ 概要
ビル街区において、清掃や警備、配送といった、入居者やビルオーナーにとって必要なサービスを、ロボットのような屋内モビリティを活用することにより、運用コストを削減する動きがあります。またこれらの異なるサービスに向けて複数台のロボットがビル運営で用いられることを想定し、異種・複数のロボット制御システムの実現をめざしています。本稿では、忙しいオフィスワーカーがオフィスにいながらにして小売購買が可能となるモバイルオーダによるロボット配送サービスの実現に向けて、ロボットの配送所要時間を正確に予測しながら最適な走行経路を探索し、予定どおりに配送する「ロボット最適制御技術」の取り組みについて述べます。
■ 概要
私たちNTTスマートデータサイエンスセンタ(SDSC)が取り組んできたさまざまな産業ドメインの成果を集約し、そのコアパーツを利用して価値化を加速するためのAI(人工知能)価値基盤を開発しています。分析事例をカタログ化することで問題設計を支援するほか、集約した実データの加工技術を自動的に試行し、データ分析の初期の試行錯誤を短期化することで、価値化を加速します。本稿では、AI価値基盤の実現に向けた取り組みを紹介します。
■ 概要
NTTでは、農産物流通の効率化を目的とし、農産物の需要や供給の情報を集約し、全国規模で商流と物流を最適化できる仮想市場の構築に取り組んでいます。これにより、物流の2024年問題や農産物流通にかかわる分野での人手不足の解消、流通にかかる時間やコストの削減などの経済効果、温室効果ガスの排出削減やフードロスの削減などの環境負荷の軽減を実現します。
■ 概要
環境負荷削減のために、再生可能エネルギー比率を高めた電力の需給調整が求められています。広く普及している太陽光発電では、全天日射量と発電量に強い相関関係があることから、発電計画を作成する際に全天日射量が主な変数として活用されています。しかし、全天日射量は観測誤差、および予測誤差が大きく、それゆえに発電計画の誤差が大きいので電力の安定供給や需給調整コストなどの点で問題が生じています。私たちは、気象情報と発電実績を組み合わせて全天日射量を高い精度で予測する技術を確立したことで、太陽光発電計画の精緻化を実現しました。

Regular Articles

■ 概要
コンクリート製電柱はお客様宅へ通信サービス提供する上で重要なインフラ設備の一つです。コンクリート製電柱の安全性をさらに向上させるためには、コンクリート内部に埋め込まれた鉄筋の水素脆化リスクを、設備が設置された環境情報から推定する技術が有用です。私たちの研究グループにおいて、鉄筋の水素脆化リスクを評価する上で重要なパラメータの一つである、コンクリート製電柱内鉄筋の表面水素量を測定する手法、および得られたデータの解析手法を開発しましたので紹介します。

External Awards
外部での受賞

↑ TOP